「大人が知らない携帯サイトの世界」読了
大人が知らない携帯サイトの世界 ?PCとは全く違うもう1つのネット文化? (マイコミ新書)
- 作者: 佐野正弘
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2007/09/08
- メディア: 新書
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同じマイコミ新書の「モバゲータウンがすごい理由」よりもさらに、PC族のケータイ族の隔絶の真実が技術的や文化的側面からより深く掘り下げられた名著と言えよう。
大人が知らない携帯サイトの世界 〜PCとは全く違うもう1つのネット文化〜目次
- はじめに
- 第1章 インターネットに存在する「2つの世界」
- 注目される「ケータイ世代」の存在
- 携帯サイトで「電車男」は生まれなかった?
- ネットの歴史からケータイとPCの「壁」を探る
- まだ1つのネットだった「誕生期」(1999〜2000年)
- iモードに革命的進化をもたらした「Internet」という項目
- 携帯サイトを飛躍的に成長させた「cHTML」
- 初期の携帯ネット文化を支えたのはPCサイト制作者
- PCとケータイの離別が決定的になった「分断期」(2001〜2002年)
- 「メール」と「コンテンツ」でiモードが一般層にもブームに
- 「一般人」が一般サイトへ大量に流れ込む
- キャリア間の規格争いでウェブサイト制作者が頭を悩ませる
- 携帯サイト離れを決定的にした「ブロードバンド化」
- それぞれの環境で独自の文化が育つ「独立期」(2003〜2004年)
- それでも激増する携帯サイトの利用者
- コンテンツでは公式サイトが映画を極める
- 若年層の「情報発信」が携帯サイト文化の方向性を決定付ける
- ネット界隈からお茶の間まで、PCサイトが話題の中心を握る
- 携帯サイトに再び注目が集まる「融合期」(2005〜2007年)
- 世間の話題をさらっているのは相変わらずPC
- 公式コンテンツに大きな変化が
- 3Gの普及で一般サイトが力を増す
- 総務省調査で判明した「ケータイがPCを上回る」という事実
- 両者の急速な融合で困惑やトラブルも
- 第2章 PCからは得られない「携帯サイト文化」
- PCとは大きく異なるケータイ世代の情報発信
- ブログやメルマガも取り込む「ホームページ」
- ケータイ世代が求める「自己アピール」と「クリエイティブ」
- 地方の若者の情報発信を支えるホームページ文化
- ホームページから生まれ、大ヒットした「ケータイ小説」
- 「ケータイで小説を書く」需要は早くから存在した
- ファンからの電話がミリオンセラーへの流れを生む
- タダで公開されているのにベストセラー?
- ケータイ小説の主な特徴
- 読み手とのコミュニケーションが創作活動を支える
- PC世代とケータイ世代における「リアリティ」の隔絶感
- ケータイ世代の視点で読めば楽しさが見えてくる
- 「ケータイ発の文化」を確立していくために
- 「水先案内人」の世代交代
- 公式サイトでは絶対的存在だった「メニュー」
- 一般サイトにおける指標は「ランキングサイト」
- 大きな変化をもたらした「ウェブサイト検索」の登場
- PCとはかなり異なる検索スタイル
- 携帯電話ゆえに起きている、ウェブサイト検索の死角
- ユーザー発のコンテンツが与える影響
- イラストと文字のマッシュアップから生まれる「●●画」
- 第3章 ケータイ世代の「コミュニティ・スタイル」
- 第4章 インターネットの「世代間格差」
- 「PC世代」の誕生
- 「ケータイ世代」の誕生
- 双方が大きく変化した「iモードブーム以降」
- 世代によって大きく異なる携帯サイトの使い方
- なぜ格差に気づかなかったのか?
- PCのネット社会を支配するのはPC世代
- PCではニュースにならない携帯サイト
- ケータイの情報はケータイでしか得られない
- 受け入れられるPC文化、受け入れられないケータイ文化
- 増える「ケータイ=ネガティブ」論
- ケータイ世代は「下流」なのか?
- PC世代でも進む「群れ」化
- ケータイ世代は情報発信に積極的である
- 「学校裏サイト」や「ネットいじめ」は特殊なのか?
- 異なる世代が歩み寄るためには
- ケータイ世代のコミュニケーションにある背景
- 親密なコミュニケーションの根源は「暇」
- 「暇」の概念は大きく変化している
- 根深いデバイスの違いによる対立
- 「事実の認識」と「棲み分け」が解決の道筋
- ケータイ世代のリテラシー向上に必要なものとは?
- 安易なフィルタリングはケータイ文化を殺しかねない
- あと2年もすれば対立はなくなっていく ―ITmedia 岡田有花氏に聞く―
- 第5章 「ケータイ世代」がネット文化を席巻する日
- 進む「ケータイ優位」のネット社会
- 携帯電話はPC世代も取り込みつつある
- 変化しつつあるPCの存在価値
- 本格化するケータイ世代の社会進出
- ケータイ文化が若者文化でなくなる日
- 日本のネットの未来はケータイにある
- 求められるのはケータイ世代の発想
- 「ナナロク世代」が示唆する「ハチロク世代」誕生の可能性
- 意固地にならず、ケータイ世代に飛び込んで欲しい ―ドコモ・ドットコム 村上勇一郎氏に聞く―
- いま必要とされるのはPC世代の「理解」
まとめると「iモード創世記から雑誌などで多くの携帯サイト紹介を手かげ、その後、技術者として多くの公式・一般サイトの開発、運営に携わることで、携帯サイトの変化と利用者を見つめてきた」筆者が、ケータイやPC、インターネットの技術発展の歴史的経緯から、それぞれのユーザー層の文化意識的違いを明らかにしていくという。PC世代のおじさんが読んでも納得の良書だった。